大判例

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東京地方裁判所 昭和51年(ワ)11466号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで、被告の借地権が建物の朽廃により消滅したか否かにつき判断する。

(1) ところで、借地法二条一項但書にいう「朽廃」とは、建物に自然的に生じた物質的腐蝕により、建物が全体的に観察してもはや社会的経済的効用を失つた場合をいうと解すべきである。

(2) <証拠>によれば、本件建物の土台については、その表面は老朽し土台下端に数センチメートルの朽廃があり、外壁は老朽して建物外部の保護機能が低下していることが認められるけれども、本件建物の基礎の状態は全般に良好で、本件建物部分の骨格部分というべき柱、間柱、壁下地については老朽の度合は少なく、耐用年数も今後十数年は見込まれ、屋根については、雨漏りのおそれはないこと、被告は本件建物を訴外小野田年宗、同田中邦夫、同村上秀夫、同山口幸作に賃貸し、右小野田等において別段の支障なく事務所用ないし居住用に使用していること、以上の事実が認められ、他に右認定を左右する証拠はない。

(3) もつとも<証拠>によると原告所有の建物が倒壊した場合には本件建物も倒壊のおそれがあることが認められるが、これは原告所有の建物が著しく老朽化しているため強風、地震等によつて倒壊した場合に、本件建物が原告所有の建物と構造的に一体となつている関係上、本件建物も倒壊のおそれが予想されるというだけであつて、<証拠>によつても原告所有の建物がいつなんどき崩壊するか判らない位の危険状態にあるとは認められず、また本件建物部分についてのみ見れば、何らの補修をしなくても昭和五三年当時において、今後数年間通常の住居その他の使用に耐えるものであると認められる。<証拠判断略>

以上の事実によつて考えてみれば、本件建物は未だ建物としての社会的経済的効用を失う程度には至らないものであり、借地法二条一項但書にいう朽廃の程度には達しないものというべきである。

(日野忠和)

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